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2015年10月19日│連絡船の町プロジェクト・勉強会

スターナビゲーション(西太平洋ミクロネシア)

西太平洋ミクロネシア南部のカロリン諸島は、パラオ諸島やヤップ島など、伝統や魅惑的な伝説に包まれた地域です。
その魅力溢れる島の人々の生活において、海と陸とを結び付ける大切な乗り物がカヌー。しなやかで美しいフォルムのカヌーは、金属性の釘や設計図は使用せず、現地で取れる素材と伝統の製法によって全て手作業で作られ、その航海方法も更に興味深いものがあります。位置を確認するために頼りにするのは、風、空、海流、海の深度、魚や鳥の動き、星の位置。動力になるのは草木で編まれた帆と、カヌーを漕ぐ人の力だけ。計器や羅針盤も一切使わないこの航法は「スターナビゲーション」とも呼ばれていて、そんな航海の旅をする地球最後の航海民族がヤップ島をはじめとするカロリン諸島には残っています。

1975年には、「チェチェメニ号」で47日間をかけて、ミクロネシアから日本の沖縄まで3000kmの航海に成功した例もあります。その「チェチェメニ号」の現物は現在大阪府の国立民族博物館に展示されおり、全長8mの勇壮で美しい船体は迫力満点です。
そんなカヌーに乗って、スターナビゲーションの航海に出れば、あとは全て自然と運と経験まかせ。考えるとすごく不安になりますが、現地の男性たちはたくましく、伝統や経験を受け継いで航海に出ているのだと思うと、尊敬せずにはいられません。

また、現在ヤップ島では毎年10月頃に「ヤップ・カヌーフェスティバル」が開催されていて、伝統のカヌーレースやダンス、ナイトマーケットなど、伝統の技を継承するヤップスピリットを体験することができます。
現地にある素材を集めて作ったカヌーで島から島へと移動し、素朴ではあるけれど豊かな暮らしをするミクロネシアの人々。瀬戸内海を行き来する多くの定期船も同じように、私たちの生活を豊かにし、いろいろな形で支えてくれているのだなと思いました。

【担当:藤井 美帆】
 


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